ブナの森を訪ねて…第1回荒島岳…
荒島岳、ブナの原生林を行く
平成18年6月3日(土) 岩出・近坂・藤田 前夜発車中泊
6:00勝原スキー場-6:40最終リフト-8:15シャクナゲ峠-9:20荒島岳-10:50シャクナゲ峠-11:30小荒島岳-12:10シャクナゲ峠-14:00勝原スキー場
荒島岳(1524m)は気の毒な山である。深田久弥の日本百名山に選ばれながら、評判は芳しくない。深田久弥は自分の故郷の山だから無理矢理百名山に入れたのだろうとか、能郷白山(1617m)より低く百名山に値しないとか言われている。
ところがどうだろう。天野盆地から見える荒島岳は雄大で、実にどっしりとしている。勝原スキー場の中腹に広がるブナの原生林も立派である。
どうやら、山麓のスキー場と山頂の反射板のせいで、実像以上に評判が落としめられていたのではないだろうか。初めて登った荒島岳は、日本百名山にふさわしい、福井を代表する山であった。
スキー場の荒れた道を40分程登ると、最終リフトに着く。そこからシャクナゲ峠までの急な登りが、ブナの巨木を随所に見ることができるこの山の核心部である。ブナの若々しい葉が朝日の中で輝いている。ブナの梢を吹きわたる風もさわやかで心地よい。ブナのゴツゴツ、ザワザワとした樹皮も、手に暖かい。豊かな緑に包まれて登っていく。ホトトギスやカッコウの声。空気までからっと澄んで、心も軽やかになる。
シャクナゲ峠(1204m)から荒島岳(1524m)までも急な登りが続いている。稜線には所々残雪も残っている。シャクナゲ峠から50分程で山頂に着く。なんと、あの評判の悪かった反射板がなくなっているではないか。人工物のなくなった山頂は実にのんびりしている。麓のスキー場も閉鎖されたようだ。荒島岳は、人間の手を離れ、本来の姿を徐々に取り戻しつつある。荒島岳が生き生きとしていたわけがここにある。私も、嬉しくなった。
【↑イワウチワ属:イワウチワ(岩団扇)/花期は4月から6月】
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